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PlayStation VRのスペックのまとめ [PlayStation周辺機器]

3月にサンフランシスコで開催されたGDC2016で、10月の発売と価格が発表されたPS VRですが、プレスリリース記事では、イマイチハードウェアスペックが分かり辛いという問題が有りました。

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3月15日の発表の翌日、GDCでSIE(GDC開催時はSCE)は「PlayStation VR: Development and Innovations」というセッションを開催。

PSVRのハードウェア面における機能や、ソフトウェア面におけるVRならではのイノベーションについて解説していたので、スペックに関してご紹介したいと思います。

ちなみに、ハードウェア面の解説を担当したのは、SCEのエンジニアであるクリス・ノーデン氏。ノーデン氏は、PS3やPSP、PS VitaにPS 4など、SCEの歴代ハードウェアに関するセッションをGDCで担当してきた人物です。

元々はSCE Americaに所属していたそうですが、PSVRの開発に集中したい為にに日本のSIEに所属して、日本で開発に取り組んでいるというホと、VRに情熱を燃やしているエンジニアです。

ノーデン氏はまず、おさらいの意味でPSVR製品版のスペックを説明。基本的には、2015年の試作機アップデートしたものであり,大きな仕様変更はない。

ディスプレイパネルには,5.7インチサイズで解像度1920×1080pixの有機ELディスプレイパネルを1枚使用。PS VRの価格が,Oculus VRの「Rift」やHTCの「Vive」と比較して安くできた理由の1つに、この1枚パネル方式が挙げられます。

RiftやViveも、試作機段階では1枚パネル方式でしたが、製品版では片眼ごとに1080×1200pixを使う2枚パネル方式に改めています。詳しくは後述しますが、RiftとViveは左目と右目の距離に合わせて、レンズと有機ELディスプレイパネルの位置を調整できる様にする為に、2枚のパネルを使う方式を採用していますが、PS VRはコストを優先させて1枚のパネルを採用しています。

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スペックのスライドに、「Low Pixel Persistence」という項目がありますが、これは「低残像」といった意味で、有機ELディスプレイパネルの動画表示性能をアピールする言葉となります。

その下にある「Low Latency」は、そのまんまま「低遅延」という意味です。これはディスプレイパネルの応答速度ではなく、システム全体での表示遅延の事で、頭部の動きをHMDが検出して、それを反映した映像をPS4が作ってHDMI経由で出力し、PS VRの画面に表示される迄の総所要時間が短いという事を示しています。具体的な遅延時間は18ms未満との事。

尚、表示遅延を隠蔽する為に、PSVRではHMDを被った頭部の移動ベクトルを予測して、描画を仕かけた瞬間から描画が完了する迄の所要時間中に生じる動き予測に合わせて画像変形とスクロール操作で映像表示を補正する「Temporal Reprojection」処理を行っています。ちなみにOculus VRでは,同じ基本原理にもとづく遅延低減の仕組みを「TimeWarp」と呼んでいます。

この他に、PS VRには「Object Based 3D Audio」と呼ばれる立体音響生成用プロセッサが実装されており、リアルな音像の定位を表現出来るとしていますう。

スペックに続いてノーデン氏は、PSVRの細かい新機能について解説しました。その1つが、プレイエリア定(Play Area Definition)機能となります。

プレイエリア定義とは、VR HMDを装着したユーザーがVRコンテンツが定義する移動範囲を越えてしまいそうな時に、注意を促す警告システムです。

「ルームスケールVR」を特徴とするViveの場合、移動範囲の境界付近に近づくと、ワイヤーフレームで描かれた金網のようなものを表示して、「それ以上進むと範囲から出てしまうよ」と警告するという仕組みになっていました。

PS VRでは、VRコンテンツ側で設定した境界にユーザーが近づいたり,ユーザーの位置や向き認識に使うPlayStation CameraがPS VRを見失ったりすると、警告をVRコンテンツ側に知らせる仕組みが導入されていると、ノーデン氏は説明しています。

尚、警告をどの様にユーザーに伝えるかはVRコンテンツ側に委ねられており、テキストで警告メッセージを出したり、あえて警告しない様にもできます。ゲームの雰囲気を壊さない様な独自の警告手段を実装する事も出来るとの事です。

また、これ迄の公開の場で披露されるのは珍しい、PS VRのプレイエリアを可視化した図も示されました。

PS VRのプレイエリアは、PS Cameraの画角と撮影能力で決まります。その為、横方向の幅は1.9m程,奥行きは0.6mから3m程がプレイエリアとなるそうです。

頭部の動きを検出するだけであれば、PS Cameraにかなり近づいた状態でも検出できるとの事です。

横幅が1.9mということは、カメラの正面から2歩移動すればプレイエリアから出てしまう事になりますが、PS VRは歩き回る様なVRコンテンツを想定していないので、この範囲で必要十分という事みたいです。

また、今回の講演で、特に興味深かいのは、PS VRに瞳孔間距離(Interpupillary distance、IPD)の調整機能が付いたと、ノーデン氏が説明した事です。

PS VRでは、レンズと有機ELディスプレイパネルの奥行き方向の距離を機械的に調節する仕組みは備えていますが、左右の瞳孔間距離を調整する機械的な仕組みが有りません。

前述した通り、PS VRのディスプレイパネルは1枚であり、2枚のディスプレイパネルを使う事で、瞳孔間距離を機械的に調整出来る様にしたRiftやViveと構造的に大きく違う部分です。

1枚方式の問題点は、ユーザーの瞳孔間距離とPS VRにおける接眼レンズの配置がマッチしない場合、特に映像外周が歪んだりぼやけたりする点となります。ノーデン氏はこの問題点について「PS VRでは、瞳孔間距離に余裕を待たせた光学設計にしてある」とした上で、「微調整を行いたいユーザーに向けて、ソフトウェア的に瞳孔間距離を調整する機能を搭載した」と説明しました。

VRコンテンツ制作者は、調整結果をVR映像描画に使うシステム補正パラメータとして受け取れる為、コンテンツ側が独自に調整機能を実装したり、パラメータを管理する必要は無いとの事です。

これ以上の詳細説明は有りませんんでしたが、ディスプレイパネルの左右に表示される映像の表示位置補正や、変形による調整などを行っているんじゃないでしょうか?

更にノーデン氏は「将来的には、この瞳孔間距離調整の結果をPSNのユーザーアカウントに紐付けて、PS Cameraでユーザーの顔認識を行うと、自動的に調整結果がPS VRに反映される様にする」と述べています。

例えば、友人の家でPS VRを使ってゲームをプレイしようという時に、友人のPS4に自分のPSNアカウントでログインすれば、そのアカウントに紐付けられた自分の瞳孔間距離調整結果を友人のPS VRに反映出来る事になります。

ただ、現状のPS4のログイン方式では、プレイヤーが変わる度にPSNアカウントを切り替えなくてはいけなくなりますが、ソフトウェア調整方式ならではのメリットとなります。

PS VRの開発キットに関する新情報で、マルチレイヤーレンダリングのサポートが大きなトピックとなります。

マルチレイヤーレンダリングとは、VR開発者の間で以前から「ゲームエンジンがVRに対応するときに、搭載すべき機能である」と主張され続けてきたものです。

これまでのゲームは完成した1画面を描画して映像出力していて、近景や遠景を区別せずに描画した1枚の絵となっています。それに対してマルチレイヤー描画システムは、遠近や近景などに映像を区分けして、それぞれを異なるフレームレートで描画した上で、最終的に合成してから映像出力することを可能とするものとなります。

例えば、遠景をプレイヤーが注視する事はあまり無いですし、ゲーム性に関わる重大な当たり判定も少ないので、フレームレートは30fpsで描画。一方、近景は注視する事が多い上、重大な当たり判定も多いので60fpsで描画。

そして、操作キャラクターやその周囲にいるキャラクターは、動きのアニメーションも含めて120fpsで描画するという具合になります。

そして、120fpsの最近景映像と60fpsの近景映像、30fpsの遠景映像を合成した上で、120fpsでVR HMDに出力します。つまり120fps基準で考えると、最近景は1フレームごとに更新しますが、近景は2フレームごと、遠景は4フレームごとの更新になります。

ユーザーの頭が動けば近景と遠景にズレが出て来ますが、そこはTemporal Reprojectionで吸収して、矛盾が無い様にすれば良いだけです。

但し、マルチレイヤーレンダリングについて、ノーデン氏は、ひとつ注意すべき点があると述べています。「近景の代表としては、照準のようなHUD表示が分かりやすい事例だと思うが、VRでは眼前に固定されて、ユーザーの動きについて回るHUD表現は気持ち悪くなりがちなので、できれば避けるべき」との事です。HUD表示はゲームでごく当たり前に使う表現ですが、VRでそれを単純に使うのは、適さない場合も有る様です。

また、新機能の話題では有りませんがノーデン氏は、PS VR向けのコンテンツを開発する時に「絶対に守るべきこと」についても説明しました。

それは、グラフィックス負荷の高いPCゲームやPS4用ゲームで最近利用事例の多い「可変フレームレート」が、VRでは許容されないという事となります。単純にいえば「コマ落ちを絶対にさせるな」と言えます。

PS VR用のVRコンテンツで許される固定フレームレートは、以下に挙げる3パターンのみであると、ノーデン氏は強調していました。

・描画フレームレート60Hz、120Hz Temporal Reprojection&出力
・描画フレームレート90Hz、90Hz Temporal Reprojection&出力
・描画フレームレート120Hz、120Hz Temporal Reprojection&出力

現在公開されているPS VR向けコンテンツのほぼ全てが、1番目の設定を利用しています。3番目を利用するコンテンツは、THE PLAYROOM VRの原型ともいえる「Magic Controller」程度となります。2番目や3番目のように高い描画フレームレートを要求するものは、映像をよほどシンプルにしたもの以外、使用事例はほとんど出てこない事が予想されます。

その他に、PS VR向けVRコンテンツを開発する開発者向けに「VRコンサルテーション」という開発技術支援サービスを提供する事も明らかにされました。

VRコンサルテーションとは、開発初期段階に開発中のVRコンテンツをSCE側に送ると、SCE側で、VRコンテンツの作り方に技術的な妥当性があるのかや、VR体験として適切かどうか(酔いやすくないか等)を評価して、フィードバックをくれる仕組みだとしています。

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↑PS VR向けのコンテンツ開発者に対して、VRコンテンツの評価技術支援サポートを提供

VRは、娯楽としても産業としても新しいので、初期の段階から良質なものを送り出したいという思いがVR業界には強く有ります。「体験して気持ち悪くなったから、もう二度とやりたくない」と思うユーザーを可能な限り減らしたいそうです。

その為、品質コントロールにはかなり気を使って欲しいという意図から、VRコンサルテーションの仕組みを利用する事で、快適なVR体験になる様に開発者を促して行くという事なのかもしれません。

また、ノーデン氏の講演で大きく取り上げられたトピックの1つが、PS VRの外付けユニットである「プロセッサーユニット」となります。ノーデン氏は「プロセッサーユニット(PU)について間違った記事が多い」と述べ、誤解を解くために「PUには搭載されていない機能」というスライドを示しました。

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↑プロセッサーユニットに搭載されていない機能一覧

「プロセッサーユニットは、PS4のCPU性能やGPU性能を強化をする機器ではないし、PS4の拡張ユニットでもな有りません。しかしPS VR用コンテンツ開発者が、VRコンテンツを動かす為に利用できるものだ」とノーデン氏は説明しました。

そのプロセッサーユニットには、どんな機能が備わっているのかを重要項目にフィーチャリングしてご説明します。

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↑プロセッサーユニットが搭載する機能一覧

1つめは,立体音響機能となります。PS VRは、音像の定位感がとてもリアルで、水平方向の360度だけでなく、垂直方向の360度についても、音像の定位感をかなり的確に再現できます。

距離感もかなり正確で、あまりにも自然すぎるせいか、体験してもそのすごさに気が付かないユーザーも多い程と言われています。

PS VRにおける立体音響は、単なる音のパンニングや音量増減で表現している訳では有りません。対象の音像が鼓膜に到達する迄に減衰したり、耳に到達してから耳たぶや耳介に反射したり、更に回折したりといった、音が聞こえる迄の過程をシミュレートして、音像を変調する処理を行うことで実現しています。

そして、この処理を担当しているのが、プロセッサーユニットに内蔵されている立体音響プロセッサであるそうです。

この様なサウンド処理のことを「バイノーラルサウンド」と言いますが、プロセッサーユニット内の立体音響プロセッサは、これをリアルタイムで処理します。VRコンテンツ側が送出するのは、音像データと、ユーザーを中心点(原点)に置いた相対的なX/Y/Z座標値で、これらの情報を元にして、立体音響プロセッサがバイノーラルサウンドをリアルタイム変調(Norden氏はレンダリングと表現)して、HMDのヘッドフォン出力端子から出力します。

なお、PS VRのHMDが備えるヘッドフォン出力端子は,一般的な3極3.5mmミニピンのもので、付属イヤフォンだけでなく市販のヘッドフォンでも利用可能です。

こうした音像と座標データで送出するバイノーラルサウンドシステムは「オブジェクトベースオーディオ」や「オブジェクトオーディオ」とも呼ばれていて、映画館やホームシアター向けの音響システムである「Dolby Atmos」や「DTS:X」にも使われています。

プロセッサーユニットが搭載する立体音響プロセッサは、PS4向けのソフトウェア開発キットでソフトウェアライブラリとして提供されたものがベースになっているそうで、これをハードウェア化したものであるとの事です。PS4で動くソフトウェアで処理出来るのであれば、わざわざプロセッサーユニット側にオフロードする必要は無さそうに思えますが、「PS4本体側のCPU負荷を少しでも低減させたかい」という理由でオフロードしているそうです。

尚、ノーデン氏は「PS VRにおける立体音響処理は、すべてプロセッサーユニット側で行うことを標準パイプラインとしている。そのため、サウンド素材を事前にバイノーラル処理することは避けてほしい」と述べていました。

また、プロセッサーユニットにはHMDだけでなく、テレビに映像を出力する為のHDMI出力端子が備えられています。この機能をSCEでは「ソーシャルスクリーン」機能と呼んでいます。

ソーシャルスクリーン機能は、VRコンテンツの内容に応じて、2通りの使い方が可能です。

1つめは「ミラーリングモード」。HMDに表示している映像や音声と同じものをテレビにも出力する機能。但しHMDに表示している映像は、レンズに合わせて変形させた映像なので、プロセッサーユニット内のビデオプロセッサを使って、テレビ表示に適した長方形の映像に補正して表示します。

「ミラーリングモードで表示される映像は、やや解像度が落ちているように見えますが、HMDに表示している片目分の映像を長方形に補正する時に、引き伸ばしたり変形しているため」とNorden氏は説明していました。

2つめは「セパレートモード」で、HMDに表示しているものとは別の映像と音声をテレビに出力するモード。

この機能は、HMD側プレイヤーとテレビ側プレイヤーが、1つのゲームを同時にプレイする事を実現できます。THE PLAYROOM VRの様な、非対称ゲームメカニクスを実現する為に使えるモードです。

セパレートモードでは、PS4はHMD向けの映像とテレビ向け映像の両方を描画する必要があります。その上、HMD向けの映像はPS4のHDMI出力端子から出力されますが、テレビ向けの映像はPS4のUSBから出力されるという特殊な仕組みが必要になります。

とはいえ、PS4のUSB端子から直接映像や音声を出力できる訳では無く、PS4内蔵のH.264エンコーダでH.264ビデオストリームにリアルタイム変換してから出力されています。この場合,H.264ビデオストリームの映像解像度は1280×720pixで、音声は48kHzのステレオ音声(※リニアPCMかACCかは不明)になるとの事です。

そして、USB経由で送られてきたH.264ビデオストリームをプロセッサーユニット内蔵のビデオプロセッサでデコードしてから、HDMI経由でテレビに出力します。

セパレートモードでは、PS4側のH.264エンコーダとプロセッサーユニット側のH.264デコーダを経由しなくてはならないので、どうしても多少の表示遅延が発生する事が予想されますが、この遅延がどの程度になるかは、今回のノーデン氏の講演でも明らかにされませんでした。

また、セパレートモードではPS4のH.264エンコーダをフル稼動する為に、同じエンコーダを使うシェア機能は無効化されるとの事です。

講演の最後にノーデン氏は、PS VR開発者に向けて提供するサンプルVRコンテンツ「Comfort Sample」を披露し
ました。これは、禁止事項の状態に陥ったVR体験が、どれほど気持ち悪いものかを理解する為に作られたサンプルであるとの事。

このサンプルでは、遅延の長さを変えたり、コマ落ちを発生させたり、Temporal Reprojectionや頭部向き予測をオン/オフした時の違いを確認できるとの事です。

左右の映像が不一致となる現象(例えば、片目側の映像にだけ影生成が行われるような状況)も体験ができるそうです。ノーデン氏は「プログラマだけでなく、アーティストも含めたVRコンテンツ開発者は、一度体験すべき」と述べていました。

と、とても長い記事になってしまいましたが、こんな感じの説明会が行われました。ノーデン氏の説明を聞く限り、コンシューマ機という制約されたスペックの中で、VRを実現する為の試行錯誤が行われている事や、コンシューマ機だからこそ、万人に向けた仕様で無くてはならない事を意識しながらPS VRの開発が行われている事が良く分かります。

また、プロセッサーユニットの仕様も明らかになりましたが、汎用CPUを積んでいるのでは無く、専用ハードを積んでいるというのには驚きました。ただ、バイノーマルサウンドの変調や、H.264のデコードは、Xperiaシリーズでも可能な様に、x86アーキテクチャのCPUが必要な訳では有りませんし、噂のPS4.5/PS4KでCPUが強化されたら、PS4本体内でPS VRのプロセッサーユニット処理もまかなえそうな気がします…。




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